あらすじ
舞台は1960年代、高度経済成長期真っ只中の田舎町──炭鉱で真っ黒になりながら働く「アリンコ」と、みんなで協力し合いながら生きぬく子どもたち。都会育ちの城大介が人々と真に向き合いながら、笑いと涙で駆け抜けます。弱さをバネに輝く人間の強さを、ちばてつやが熱く描く感動群像劇!
Release date 1965. 08
舞台は1960年代、高度経済成長期真っ只中の田舎町──炭鉱で真っ黒になりながら働く「アリンコ」と、みんなで協力し合いながら生きぬく子どもたち。都会育ちの城大介が人々と真に向き合いながら、笑いと涙で駆け抜けます。弱さをバネに輝く人間の強さを、ちばてつやが熱く描く感動群像劇!

次々変わる情景、飛躍するドラマ
炭鉱の坑道、ホコリだらけの長屋、大きな競技場に集う人々、子どもたちの表情一つひとつが、驚くほど詳細に描かれている本作。特に炭鉱夫の作業着や道具、命の危険と隣り合わせになる落盤事故の臨場感は圧倒的です。背景にまで命を吹き込み、当時の生活をまるでドキュメンタリーのように再現。
落盤事故・運動会・子どもたちの対立──ページをめくるたびにエピソードが次々と展開され、軽快さがありながら深いドラマが詰まっています。「次はどうなる?」と思わせるこの疾走感が、ちばてつやならではの構成力。登場人物それぞれが“役割”の中で動き、物語を盛り上げています。ちばのストーリーテリングの巧さが光り、全3巻とは思えないボリュームを感じられるでしょう。
また、「親の死」「貧困」など重いテーマが登場するのに暗くならないのは、ちばてつやが命を吹き込んだキャラクターたちの強さ、そしてユーモアセンスのおかげです。子どもたちの悪ガキぶり、大介のドタバタ、奥山の毒舌、これらが絶妙なエッセンスになり、戦後の貧しい風景から、前向きな気持ちや、希望が伝わってきます。

教師と子どもたちの衝突と成長
都会から炭鉱がある田舎町に赴任した若い教師が、教育の理想を振りかざして子どもたちの前に立ちます。しかし、その理想は思い通りにいきません。消しゴムやノートがほしくても、勉強したくても、できない子どもたちもいるのです。勉強するより魚獲り、絵を描くより万引き。そんな現実が大介に突きつけられる場面は、多くの大人が心に痛みを覚えるのではないでしょうか。
本作では、“正しさだけでは人を救えない”場面が容赦なく描かれています。正しいことを教えようとして説教をしても反発され、むしろ傷つけてしまう──子どもたちに拒絶され、挫折し、打ちのめされながら、それでも真正面から子どもたちと向き合い続ける大介。彼自身もまた、子どもとともに成長していく姿は必見です。お互いを理解する瞬間は突然訪れるのではありません。衝突と和解を繰り返しながら、少しずつ積み上げたものの先にあるものです。「教育=導く」ではなく、「教育=共に生きる」という答えにたどり着く過程が、壮大な感動を残します。

現代に通じる普遍的作品
小さな小さなアリンコ。
汗と煤、ホコリ、貧しさにまみれた彼ら。悩み、逃げ、怒り、泣き、万が一のことが起こっても満足に治療を受けられないほどの貧しさにあえいでいます。ただ、彼らは決して弱くはありません。アリンコ一匹では小さな存在でも、仲間と肩を並べれば巨石を動かし、巣を守り、未来を作ります。落盤の恐怖と闘いながら重労働に耐え、家族のため互いに支え合って汗を流す彼ら。出稼ぎで遠く離れた親を待って、勉強もろくにできず山を駆け回る子どもたちもまた、アリンコのように懸命に生きています。
高度経済成長の光が届かなかった時代に、日本を確かに支えていたのは、都会の華やかなビル群ではなく、小さなアリンコたちの不屈の力でした。蔑まれても、忘れられても、誇り高きアリンコたちはまぶしいほどに輝いています。それが、炭鉱町に確かにいた、たくましく美しい人々の姿でした──。

アリンコの歌 1巻
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アリンコの歌 2巻
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アリンコの歌 3巻
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