1・2・3と4・5・ロク

1・2・3と4・5・ロク

Release date 1962. 06

「しょうかいしましょう この子が長女の一枝
そのむこうが二郎……」「三枝です!」
「これが四郎でこの子がいつ子です」

あらすじ

北白川家は仲良し7人家族。お父さんの転勤で、東京に引っ越してきた転校初日、三枝と四郎は校庭でかつての愛犬ロクがいじめられているのを発見!団地では犬を飼えないので、家族に内緒でロクの面倒を見ようと指きりげんまん!!

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みどころ

みどころ1

少女マンガの枠に収まらない原点

『あしたのジョー』や『あした天気になあれ』など、硬派な男の世界やスポーツマンガのイメージが強いちばてつや。ですが、実はマンガ家人生の始まりを彩ったのは、『1・2・3と4・5ロク』を始めとした数々の少女マンガ作品です。

現在の「ちばてつや」に対するイメージと、少女マンガという言葉のイメージが噛み合わない人も多いはず。ですが本作に関しては掲載された雑誌こそ少女マンガ誌だったものの、メインテーマとして描かれているのは、にぎやかなある一家族のありふれた暮らしの日々という、性別・年齢問わず共感される内容です。

作品が連載されていた1960年代の時代世相を反映したような、とある団地に暮らす五人姉弟の家族。その三番目の女の子・三枝を中心に描かれる北白川家の生活は、毎日大小様々な事件が巻き起こります。姉弟のいる子どもたち特有のくすりと笑えるトラブルから、中にはまだ幼い彼女たちにとっては辛く過酷な出来事まで。作中に描かれるのは、ある意味ではマンガらしくないリアリティのある物語ばかり。そのリアリティさが本作を非常に読み応えのあるヒューマンストーリーとして、時代を超えて楽しめるマンガにしているのです。

みどころ2

懐かしくも新鮮な暮らし

本作は1960年代の連載の後、1970年代、1980年代と二度に渡ってテレビドラマ化されました。作中の北白川家の暮らしは、当時作品を読んだり、ドラマを観ていたりした人にとっては懐かしさを。当時の生活を知らない若い人たちには、”当時の子どもたちはこんな暮らしをしていたんだな”という新しい発見を。現実味のある感覚として与えてくれる点も、作品の大きな魅力となっています。

マンガの中のフィクション的な情景でなく、実際にその時代を生きた人々の情景として、当時の暮らしを描く。その中ちばてつやが大事にしていたのは、リアルな背景の絵などではなく”人の描写”でした。姉におつかいを頼まれ、通りすがりの豆腐屋さんへ豆腐を買いに行く次男・四郎の様子や、幼い末っ子・五子に初めての乳歯が生えたことに気づき、姉弟全員がご飯もそっちのけで彼女の周囲を嬉しそうに取り囲む様子など。物語の本筋に大きな影響はなくとも、それでも確かにここに暮らしている北白川家の何気ない日常を感じさせる。そんな当時の人々の生活の息づかいを感じさせるシーンが、作中には随所に散りばめられているのです。

みどころ3

個性豊かなキャラの姉弟

本作の主人公は次女・三枝ではありますが、同じひとつ屋根の下に暮らす他の姉弟たちも、彼女に負けず劣らずの魅力的なキャラクターたちばかりです。

子どもたちの模範として弟妹のお世話や、率先して母と共に家のことをこなすしっかり者の優しい長女・一枝。男兄弟では一番上でありつつも姉のいるポジションからか、立ち回りも器用で頭も良くお調子者な一面を持つ長男・次郎。物語を動かす主人公らしい活発さと負けん気の強さを持つ三枝と、同じ小学生であり歳も近い次男・四郎の喧嘩も交えた仲の良さは、見ていて微笑ましさを感じます。。その中に混じる末っ子・五子はまだ言葉も喋れない幼さではありますが、すでに立派な家族のアイドル的存在です。

そんな姉弟をとりまく両親や学校の友人・先生、ご近所さん。そしてこの物語に欠かせないのが、北白川家一家と深い絆を持つ飼い犬のロク。このロクの存在があってこそ、新天地へ引っ越してきた北白川家の物語は予想もつかない方向へと動き始めます。イキイキとした実在感と共に紡がれる姉弟たちの物語。その仔細なストーリーは、ぜひマンガ本編を読んで確かめてみてください。

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