あらすじ
小柄なやんちゃ坊主・次郎と、荒れ寺に住まう孤児たち。彼らを世話する和尚との偶然の出会いから、物語は始まります。対立していた子どもたちが、野球という共通項を経て一つにまとまっていく姿を、マンガ本編でお楽しみください。
Release date 1967. 01
小柄なやんちゃ坊主・次郎と、荒れ寺に住まう孤児たち。彼らを世話する和尚との偶然の出会いから、物語は始まります。対立していた子どもたちが、野球という共通項を経て一つにまとまっていく姿を、マンガ本編でお楽しみください。

「あまったれ」と呼ばれる主人公
次郎は4人家族の次男。しつけに厳しく心配性な母と、家族を優しく見守る父、そして高校1年生のうちから大学受験の勉強をするまじめな兄がいます。2階建ての大きな家の庭では父がゴルフの練習をし、子どもたちは塾に通い、両親を「パパ」「ママ」と呼ぶ──絵に描いたような、幸せな家庭で育ってきた次郎を、荒れ寺の孤児たちは「あまったれ」と呼びました。
彼らは次郎のことを、単純に生意気だと言って扱っているのではありません。次郎は、彼らが何よりも欲しかった「親の愛情」「帰る家」「幸せな家庭」すべてを持っていたのです。嫉妬・疎外感・羨望、やり場のないいら立ちによって、次郎と孤児たちはどんどん対立していきます。負けん気の強い次郎ですが、孤児たちの集団に揉まれることは、大きく成長していく過程と言えるでしょう。
あまったれを打ち負かしたい孤児たちと、大好きな野球で彼らに認めさせたい次郎。
そんな次郎が試合のために、催眠術で呼び覚まされた力ではなく“本当の実力”でチームのエースになってみせると猛特訓する姿は、思わず応援したくなること間違いなし。派手な必殺技や才能に頼らず、負けず嫌いの性格と根性で戦っていく等身大のヒーロー像は、本作の大きな魅力です。

和尚の存在がもたらす人間教育
物語の中心には、山奥の荒れ寺に住む和尚がいます。孤児の少年たちを集めて親代わりとなり、寺子屋の先生でもあり、少年野球チーム『少年ジャイアンツ』を率いて日本一を目指す監督でもあります。
「反発ばかりしとったんじゃ、いつまでたってもみんなと打ち解けることはできんぞっ」
「人間だれしも耐えねばならんときがある」
「ここでじっと辛抱できれば、あの子も立派に成長するにちがいない」
単なる野球の監督を超え、少年たちを導く「人生の師」としての存在が際立つ側面も。野球の技術以上に大切な人間としてのあり方、他者を思いやる心の大切さが、随所に散りばめられています。
設備も豊かではない荒れ寺で、手作りのグラウンドで、和尚とともに朝から晩まで野球に熱中する少年ジャイアンツのメンバーたち。よそ者の次郎を敵対視する彼らも、和尚の言うことだけはきちんと聞いています。
時に厳しく、時にユーモラスでありながらも、常に少年たちの成長を願う深い愛情に満ちている和尚。目の前の子どもを一人前にしようとする和尚は、彼らにとってまぎれもなく“家族”なのではないでしょうか。

同じ汗を流す、体験の共有という絆
ひょんなことから出会った、次郎と少年ジャイアンツのメンバーたち。
チームを率いる4番バッター兼エースピッチャーの雁太は、新入りの次郎を特に目の敵にしています。体格も性格も対照的な二人がぶつかり合いながら、野球を通じて少しずつ距離を縮めていく過程は、本作の大きな見どころです。
野球の試合を通して、友情や努力することの大切さを学んでいく子どもたち。そして、家庭環境や育った背景がどれほど違っても、グラウンドで流す汗や泥の重みは、みんな平等だと身をもって知っていきます。真っ白だったユニフォームをドロドロにしながら白球を追う共通体験は、彼らにとって言葉以上の説得力があるでしょう。
そして、出会いもあれば別れもやってくるのです。
試合の後、和尚と少年ジャイアンツのメンバーたちは、渡り鳥のように各地をまわって“新しい次郎”を育てながら野球少年を増やしていくといいます。空っぽになったグラウンドで、かつての犬猿の仲だったみんなの名前をつぶやく次郎。
その後、次郎は新しいチームを作ったのでしょうか。少年ジャイアンツは日本一のチームになったのでしょうか。そして、あの荒れ寺のグラウンドで、次郎のチームと少年ジャイアンツが対戦したのでしょうか──。

がんばれ少年ジャイアンツ 1巻
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