テレビ天使

テレビ天使

Release date 1968. 02

あらすじ

亜希子は小学五年生の女の子。女優だった母はある朝突然自殺してしまった。身寄りがない亜希子は千住に住むちょっと変わり者のおじいさんのもとへ預けられることに。ガンコで乱暴者に見えるおじいさんだけど、ほんとは優しくて亜希子のことを心配してくれているみたい……?素直でがんばり屋さんの箱入り娘・亜希子が下町っ子に応援されながら女優へと羽ばたく様を描く爽快まんが!!

ひょんなことから母と同じ演技の道に進み、周囲の大人に巻き込まれながらスター街道を走ることになった亜希子。しかし……芸能界は、そして人生は決して楽しいことばかりではありません。彼女の努力する様に、思わず「がんばれ、亜希子!」と声をかけたくなること間違いなしです。

sale

1巻を購入する1巻を購入する

みどころ

みどころ1

愛すべき個性豊かなキャラクターたち

素直でやさしい亜希子の周りには、個性豊かなキャラクターたちの姿があります。夜通し熱血指導をするおじいさん、どんなときも亜希子を優しく気遣うクラスメイトの尚、亜希子をライバル視しつつ見守る売れっ子女優・マリ、私利私欲に走るマネージャー・岡野。

それぞれが大切にしている事柄や感情を顕著に描ききっているのは、ちばてつやならでは。たとえば、おじいさんは、ニコリと笑うこともなく、芝居には決して妥協しない厳しいキャラクターとして描かれています。しかし、その厳しさの中に垣間見える不器用なやさしさからは、亜希子を大切に思う気持ちが伝わってきます。そんな亜希子とおじいさんが少しずつ、少しずつ距離を縮めていくようすは、誰もが感情移入してしまうのではないでしょうか。

厳しいレッスンの合間を縫って、おじいさんに会いに行く亜希子。彼女が来たときのためにと、みかんの缶詰をたんまりと用意していたおじいさん。そんなやさしさに触れた亜希子は、思わず涙してしまいます。公園のすみに建てた小屋での一夜ですが、大好きなおじいさんといられれば場所は関係ありません。大切な人と、ともに時間を過ごせるのがどれだけ幸せなことか。われわれは、笑顔で食卓を囲む二人の姿に、生きていく上で大事なことを気づかされます。

みどころ2

絵から伝わるリアルな空気感

長屋での暮らし、紙芝居、水あめ、はっかせんべい、デパートのアドバルーンにカラーテレビ。本作には昭和30〜40年代の生活がありありと描かれています。随所にちりばめられた昭和のレトロさを新鮮に感じる人もいれば、懐かしいと当時を思い返す人もいるのでは。

さらに注目すべきは、微細なその描かれ方。長屋の破れた障子、教室で勉強に励む生徒一人ひとりの姿、小学校の劇を見に来た父兄の姿、そして亜希子デビュー後の初舞台──どれをとっても緻密で、躍動感あるカットです。描かれた線の一本一本が、本作の持つ「味」を作り出しています。

また、長屋と豪邸、庶民の世界と芸能界、公園での紙芝居と大舞台での演技など、折々に見える対照的な場面にも注目です。一気にスターとなった亜希子に対して影をひそめることになったマリの姿も、どの世界にもある陰と陽を表しているかのよう。絵から伝わるさまざまな「空気感」を、ぜひお楽しみください。

みどころ3

「自分で立ち上がる」ことの大切さ

学校の劇で主役を押し付けられた亜希子。生まれて初めての演技で役に入り込むと、女優だった母の姿を思わせるほどの演技で周りを圧倒し、親譲りの才能を開花させます。「役を返せ」と言われても、おじいさんの厳しい指導が夜通し続いても、役に熱中してやり切る亜希子。クラスメイトのちょっとした意地悪から始まった亜希子の女優人生は、これからどうなっていくのでしょうか。

母は自殺、祖父は病死、父は過労死……大切な家族を次々に失ってしまった亜希子。でも、一人ぼっちではありません。彼女のそばにはいつでも友だち、ご近所さん、ライバル、たくさんの“仲間”が。そして、何より亜希子の心には“大切なもの”があります。

「劇をやるのはとてもすき」
女優という大きな夢を見つけた亜希子。芸能界という弱肉強食の世界を生き、悲しみにくじけず自らの意志で立ち上がった彼女の手には、おじいさんが最期に女優・早坂亜希子へ遺した『テレビ天使』のシナリオが。亜希子はこれからどう『テレビ天使』を演じ、どんな女優になっていくのでしょうか──。

コミックス一覧